たて込み簡易土留め施工手順
- Procedure -

たて込み簡易土留設計・施工

「たて込み簡易土留設計施工指針」(たて込み簡易土留協会)に基づいて設計しています。

1.適用範囲

項目 適用範囲
掘削深さ 6m以下(国交省歩掛の範囲、市場提供機材も6m以下のみ)注1
掘削幅 原則として4.7m以下(条件により異なる)
(特殊部材により拡幅も可能)注2
架空線など 作業範囲の上空が6m以下の場合は不可
地盤条件 標準貫入試験のN値が4以上の地盤を基本とする。

注1.本工法は、良質な地盤を対象として適用されるため、掘削深さを 6mまでとしたが「公衆災害防止対策要綱」の規定から、掘削深さが4mを超えるものや周辺への影響が大きいと予想される場合には、現場環境などを適切に検討する。
注2.標準的な本工法の掘削幅は、通常3m程度までであるが、条件によっては 4.7m程度までは可能である。また、特殊部材を使用することでさらに拡幅することができる。ただし、幅が広い場合は編削機械が足元の土砂崩壊によって掘削溝内への落下や転落などが発生する可能性があるので、これを防止するための必要な措置を施す。
注3.表1-1の適用範囲を超える条件下での適用が要求される場合には、詳細な土質調査と設計上必要となる調査資料を十分に検討して、現場条件の改善処置または補助工法の併用など、施工が可能となるように処置する。

2.地盤条件

本工法は、原則として良質な地盤を対象とした工法である。したがって、本工法の適用に際しては地盤や土質の性状を十分に把握することが重要であり、条件によっては掘削が不能となり周辺土砂の崩壊などの危険が生じる恐れがある。このため、本工法が適用できる地盤条件を以下のように定める。

① 標準貫入試験のN値が4以上の地盤を基本とする。
②砂質土にあっては、ボイリングの恐れのない地盤とする。
③粘性土にあっては、ヒーピングの恐れのない地盤とする。

②、③は、たて込み簡易土留め工法が「根入れのない土留め工法」であることから、このような恐れのある地盤については十分な検討を要する。

①N値が4以上の地盤:
標準貫入試験のN値が4以上の比較的良質な地盤を対象とする。
N値が4未満の地盤に対して本工法を適用する場合には、より詳細な現地調査や土質試験などを行い、その適用性を判断する必要がある。

②ボイリングの恐れのない地盤:
地下水位の高い砂質地盤では、掘削側の有効荷重が小さい場合に土留めの内側に地下水とともに外側の砂が流入する、いわゆるボイリング現象が発生する。本工法は根入れがない土留め工法であることから、掘削側の有効荷重が得られない。このため、地下水位の高い砂質地盤ではボイリングの発生を防ぐことができない。
周辺環境に問題がなければ、地下水位低下工法により水位を掘削底面以下に下げることでボイリングを防止でき、本工法を採用することが可能となるが、重要構造物が近接している市街地などでは、地下水位低下工法の採用がむずかしく、鋼矢板などの根入れのある工法を採用する必要がある。

③ ヒービングの恐れのない地盤:
N値が小さく粘着力に乏しい粘性土地盤では、土留め内外の土圧差から堀削底面の地盤が盛り上がる、いわゆるヒービング現象が生じる恐れがある。ヒービングが発生すると周辺地盤の沈下が生じるため、粘性土地盤での本工法の適用にあたっては、土質試験などのデータをもとに十分な検討を行う必要がある。

検討の結果、ヒーピングの恐れがあると判断された場合には、本工法以外の根入れのある工法を採用する必要がある。

 

3.施工上の留意事項

たて込み簡易土留めの施工にあたっては、下記事項を遵守しなければならない。

(1) 施工にあたっては、以下の規則などを遵守すること。
■車両系建設機械のつり上げに関する規則など
安衛則第164条2項、3項
平成4年8月24日付 基発第480号
平成4年10月1日付 基発第542号
■クレーン機能を備えた車両系建設機械の取扱いについて
労働省労働基準局安全衛生部安全課長 事務連絡(平成12年2月 28日付)
■山止め支保工作業主任者の選任について
本土留め機材を使用するにあたっては、「地山の掘削及び山止め支保工作
業主任者技能講習」(2006年3月31 日以前においては、「山止め支保工作
業主任者技能講習」)の修了者を作業主任者として選任しなければならない(「地山の掘削及び土止め支保工組立て等の作業指針」を参照)。

(2)掘削およびたて込みは、本指針に示す施工手順で施工すること。
引抜きは、本指針に示す施工手順を基本とするが、特殊な施工においては、安全を確保した手順を事前に計画し、施工しなければければならない。

(3)たて込みや引抜き時の車両系建設機械やクレーンなどによる作業中は、立入り禁止措置を行うとともに、運転手と作業員との連繋を計るため合図を行う者を置かなければならない。

(4)パネルやレールの押込みには、機材やバケットの保護のためにプロテクターを必ず使用すること。

(5)縦ばりプレート方式は、隣接する縦ばり間にすき間が生じないよう施工しなければならない。

(6)たて込み中、掘削進行方向の土砂崩落の恐れがある場合は、適切な処置をしなければならない。

(7)土留め壁と背面土にすき間が生じた場合、周辺地盤に影響を与えないように、砂などによる裏込めを行わなければならない。

(8)埋設物の布設作業などで、掘削湾内に立ち入る際には安全はしごなどを必ず使用し、土留め、切ばりなどの機材に足を掛けたりしてはならない。

(9)埋戻しは、掘削幅の全体にわたって締固めができるように、埋戻し土の投入
→締固め厚さまでのパネルの引上げ→締固めの順で行い、定められた厚さごとに繰り返し入念に施工しなければならない。なお、現場環境により、このような手順による埋戻しが困難な場合には、縮固めが十分に行われるよう適切に配慮しなければならない。

(10)引抜きは、クレーン機能付きの車両系建設機枝のクレーン機能を使用するか、トラッククレーンなどで施工しなければならない。車両系建設機械の用途外使用は禁止されている。

(11)覆工を必要とする場合は、覆工材が土留め機材に当たらないようにH形鋼による桁材などを設置しなければならない。

4.標準的な施工手順

  1. スライドレール方式作業手順
    ステップ1

    スライドレールの組立

  2. ステップ2

    一次掘削

  3. ステップ3

    スライドレールの建込み

  4. ステップ4

    パネル及び反対側のスライドレールの取り付け

  5. ステップ5

    溝の掘削と土留めパネル及びスライドレールの圧入(繰り返し)

  6. ステップ6

    構内作業

  7. ステップ7

    構内作業

  1. 縦ばりプレート方式作業手順
    ステップ1

    縦ばりプレートの組立

  2. ステップ2

    一次掘削

  3. ステップ3

    縦ばりプレートのたて込み

  4. ステップ4

    縦ばりプレートの圧入(掘削、圧入の繰り返し)

  5. ステップ5

    構内作業

  6. ステップ6

    埋め戻し及び縦ばりプレートの引き抜き・撤去


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